テーラーメイドのサービスで差別化

JCS は、インターネット用途のサーバ販売に多くの実績を持っている。しかし、このエリアは同業あまた、競争の激しいところでもある。そのなかで、どこで差別化を図り、どう勝負していくのか。この問いに対し、同社は徹底的なカスタマイズとサポートに重点を置いたという。では、顧客からの視点ではどのような点がポイントとなるのだろうか。その疑問を解くため、数多くのJCS サーバを導入してきたライブドア(旧エッジ)に話を聞くことにした。

JCS オリジナル3Uラックマウントサーバー+RAID

JCS のオリジナリティが光る製品。サーバー部分をトレー構造とし、Xeonプロセッサ、Pentium4プロセッサを選択できる。ストレージ部はRAID サブシステムと同じコントローラを採用し、高速・高信頼性を保っている。ファイルサーバー、データベースサーバー等に使用する他、NAS サーバー用途等、その応用範囲は広い。

ライブドアは、昨年LindowsOSを国内発売したことでご存じの方も多いだろう。しかし、LindowsOS は同社の営業品目の一部にすぎない。ライブドアの事業の中心は、社名ともなっている無料インターネットアクセスサービスLivedoor や、サーバホスティングサービスのデータホテル、企業のイントラネット提供までを含む総合IT ビジネスとでもいうべきものだ。そのライブドアで、JCS のIA サーバが使われている。

ライブドア、ネットワーク&ソリューション事業部技術グループサブマネージャ、嶋田氏の説明によると、同社は使用するIA サーバのOS として、Linux やFreeBSD などのオープンソースOS を使用することが多い。その際に問題となるのは、ハードウェアとOS の親和性だ。Linux やFreeBSDは新しいハードウェアに対応していない場合がある。その際にはマザーボードの選択だけでなく、筐体や周辺機器を含む包括的な設計変更や細かい調整が必要になることがある。

JCS は、このような技術的な問題に対して逐一きめ細かくチューニングしていき、ライブドアが必要とする機能や性能を満たす製品を提供している。

JCS の岩本氏は、この点について「JCS ではユーザーのニーズに合わせて、筐体から作り上げることもしますし、サポートについても、同業他社が提供できるサポートはすべて用意できる」と言う。このようなユーザー本位の体制が、JCS のビジネスの強力なセールスポイントになっている。

ライブドアのさまざまなサービスのなかでも、データホテルと呼ばれるものは、サーバホスティング、データストレージ、企業へのイントラネット環境の提供、またそれらの保守や監視まで含む広汎なサービスを、月極めで利用できるシステムである。つまり、
データホテルの利用者はデータセンターにあるサーバを借りられるほか、サーバのメンテナンスを含む多くのサービスを受けられるのだが、これらの柔軟なサービス提供の陰に、JCS のサポートがあるのだ。

ライブドアは、IT 技術に精通していないユーザーもデータホテルの顧客として取り込むために、コンサルティングを通してユーザーのニーズに対応できる体制をとっている。顧客のニーズに徹底して対応するためには、サーバを提供する側にもさまざまな対応が要求される。JCSでは、このような要求にひとつひとつ対応し、ライブドアの求める性能を備えたサーバとして提供している。

J C S が提供するサーバは、Pentium 4 からXeon ベースまで多岐にわたるほか、台数もこの一年間で500 台を上回るというから、個々の製品への要求に対応する手間を考えると、いかに大変かがわかる。

NIC やハードディスクなどは、運用時に負荷がかかったときにトラブルが発生することが多いという。J C S では、その辺を事前に検証したうえで提供している。つまり、一定のエージングを経て出荷されるため、稼動後の不良率が下げられるのである。


次のビジネスは何か

技術や製品は時代とともにコモディティ化するとしながらも、同時に岩本社長は、コンピュータ業界には、その時代その時代の最先端で、必ず高いプロフィットが期待できる分野が現われるという。それが何かをいち早く察知して次の事業展開を考えていなければならないというのである。つまり、現状のビジネスに精一杯注力する一方で、その先に何があるかを同時に模索しなければならない。では、同社が考える次の一手は何か。

岩本氏は、Web フロントエンドなどで使われるサーバ市場を現時点の経営の主軸に置きながら、将来的な展望をHPC( High PerformanceComputing)分野に据えている。

HPC とは、コンピュータによって大量の計算を高速にこなすことを指す。たとえば、流体力学の計算や、イメージをレンダリングしてグラフィックスアニメーションを作るといった作業は、HPC が得意とする代表的な用途である。HPC 環境といえば、ひと昔前にはスーパーコンピュータを指した。その有名な例として、CRAYなどを挙げることができる。しかし、1980 年台後半にはスーパーコンピュータの開発に蔭りが見えてきた。より性能の高いマシンを開発するためにはあまりにも巨額のコストがかかり、しだいに割りに合わなくなってきたのである。代わって、多数のPC を集積した、低コストで高性能なクラスタリング構成のシステムが開発されるようになった。このような時代の流れを汲んで、高性能になったIA サーバをクラスタリング構成したHPC 商品が次第に実用化している。

ちなみに、世界のスーパーコンピュータの性能を比較したTOP500SUPERCOMPUTER SITE
( http://www.top500.org/)では、2003年11月の時点で、トップはベクトルプロセッサを用いたNEC の地球シミュレーターだが、トップ10 内に複数のHPC クラスタリングマシンが入っている。

面白いのは、2003年6月には第3位だったローレンス・リバモア研究所のLinuxクラスタシステムが11月にはすでに7 位にまで下がって、その間に新たなHPCクラスタシステムが登場している点だ。今後、これらのHPCクラスタマシンがスーパーコンピュータの記録を塗り替え、その頂点に立つことは、時間の問題と見てよいだろう。


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Contents...
・コンピュータビジネスのもうひとつの道
・テーラーメイドのサービスで差別化
・HPCクラスタは次の一手となるか
・Column